怖い映画を見るときに考える話

夏、夏といえば怖い映画だ。 アマゾンプライムで見つけた犬鳴村を見た。家族が寝静まった夜、一人で見ていると流石に怖い。怖いのだが同時に、こういう心霊的な現象というのは人間に限って都合良く起こるのは何故だろう。例えば、貞子という有名なキャラクターがいるが、殺された恨みなどで幽霊になり、特に関係のない、たまたまそこらへんにいた人に復讐するという設定がよくある。この現象が地球上の生物の中で、人間にのみあり得る事、と考えられていることがまず不服である。

私は無意識、無感情に家の中に唐突に現れる蠅や蚊やダニ、さまざまな虫をおそらく年間かなりの数を駆除しているが、蚊の幽霊が現れたりしたらどうしよう?などという発想は無いし、そんなことを妻に言ったらこいついよいよ頭やべえ、と思われるだろう。しかし心霊映画を見ている時に私が最も気になるのはこの件なのだ。人間だけが生命の中の上位種で特別に幽霊になることが出来る、という他の生物に対する優越感情こそが最も気になるわけだ。いや、一時的に気になる事にするのである。

しかし、そんな事は実はどうでも良く、つまり。怖い映画を見ている時、自分の心を守る防衛本能の一部として上記の話は役に立つのだ。怖い映画を見た時には自分が過去に駆除した害虫の生命の事を思い出して見てほしい。きっとバカバカしくなり、怖い映画も楽しんで見ることが出来るはずだから。

犬鳴村には恐怖回避バージョンという、その名の通り恐怖を回避できる工夫を施されたバージョンもある。可愛らしいスタンプや楽しげな効果音のレイヤーが掛かっていて怖くないよう作られている作品だ。試み自体とても面白いが、私は前述した虫の事を考えながらこれからも恐怖バージョンを見ていきたい。しかしどんなに虫に想いを馳せても、映画を止めて夜トイレに行くのは怖いのである。

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